ビジュアルの力は取り扱い注意

こんにちは！モユルデザインです。 先日、学生時代の友人とお茶をしてきたときのお話で、かなり染み入る話がありました。

私は文学部の出身なのですが、そのこともあり、学生時代の友人には自分で小説を書いている子がいます。いまだにそれを続けていて、ほんとうにすごい熱量で尊敬しています。

そういった方たちは、自分で本を作り、即売会などで売ることもあります。

その会場では漫画ジャンルと一緒になることもあり、小説は「ビジュアル」がないためインパクトにかけ、漫画と並ぶとなかなか売ることが難しいのだそうです。

しかもその場でサンプルがあるとはいえ、すぐに「どんな感じか」が、なかなかわかってもらいにくいと言います。文章をその場で読むのは確かにハードルは高い。

この話を聞いたときに、とても神妙な気持ちになりました。

「ビジュアル」というのは、「わかりやすさ」ゆえに人の意識を惹きつけるものすごい「力」があります。

その力は、「（本当はとても価値があることなのに）目立ちにくいもの・わかりにくいもの」を押しやってしまう力もあるんだと、つくづく感じました。

極端な話ですが、それがあるからこそ、歴史的にもナチスやソ連などでも、プロパガンダとして〝かっこいい〟ポスターが作られ、デザインが悪用された歴史もあるほどです。

デザインやビジュアルは、間違うと「権威」と近くなります。これはほんとうに危険なことだとおもいます。

政治的なことは極端な話ですが、日常的にも、たくさん起こっていることだと思います。

「こうしたらもっといい」は簡単に提案できることだけれど、それは「そのものの良さ（文章だからこそ伝わること）」を「わかりやすさ（ビジュアル）」で打ち負かしているようなことになるので、振りかざすことはしたくない、と思いました。もっと身近なことに引き寄せると、これは人の悩みを聞いたり、日常のコミュニケーションで大切なことと近いと思います。相手の感情を無視して、すぐわかりやすい解決や正論に引っ張ろうとしない、というか。

ビジュアルの力はほんとうに強い、だからこそ同時に取り扱い注意。（うまく扱えれば、本当に効果的だということの裏返しだとも思います）

あらためて肝にめいじた機会でした。